AYANKOKO
と話す
フランス育ちのラオス人エクスペリメンタル ・エレクトロニック・ミュージシャン。
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バンコクのStudio LamにてTommy Hansonと即興演奏するDavid Vilayleck。写真:Suphakorn Buayangtoom

Mainland SEA Talk

2019年1月

テキスト:Thanart Rasanon

和訳:Miho Oashi

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Ayankokoは、David Somphrachanh Vilayleck(以下:デイヴィッド)による音楽プロジェクト。彼は最近、アジア系のアーティストらによって作られた、革新的音楽を探索するレーベル「Chinabot」からデビューアルバム『Kia Sao』をリリースしたばかり。フランスにあるペルピニャンとストラスブールの音楽院でジャズギターと即興音楽、作曲について学び、新しい方法でジャズを探求する自身のジャズバンド「Peemai」にてツアーも行った。

 

デイヴィッドはまた、音楽を通してラオス人としてのルーツを探る試みをしている。彼の両親は70年代にフランスに移民してきたラオス人だ。デイヴィッドはヨーロッパの文化で育ったにも関わらず、まだラオスというルーツに興味を持っている。また、彼は2004年以来、自身のレコードレーベル「Ayan Record」を含むさまざまなネット・レーベルでアルバムを発表してきた。彼の音楽の探求はまた、バンドや音楽プロジェクトで世界中を旅した経験からインスパイアされている。

 

彼は「Peemai」のアジアツアーと「Ayankoko」としての最初のギグをバンコクのStudio Lamで終えたばかりだ。

 

-Studio Lamでのパフォーマンスで使用した機材とテクニックについて教えてくれますか?

 

ラップトップと、FocusriteのScarlett Solo 2i2oとAkaiのLPD8コントローラーを使いました。使用したソフトウェアは、僕がプロデュースしているトラックを再生したりDJするためのAbletonです。ノイズを出すために使っているメインのものはMax/MSPで、オーストリア・ウィーン出身のKlaus Filipによって開発された、ppooll (ppooll.klingt.org)を使用しました。

このインターフェースとモジュラーを使えば、例えばバーチャル・モジュラー・シンセサイザーなど、繋げたいものとパッチできます。オーストリアでのツアーの最中にKlaus Filipに会い、彼が自宅に僕を招待してくれ、いくつかのものを見せてくれました。そのときこのMax/MSPパッチも見せてくれたんです。本当に柔軟ですよ。サンプラーやグラニュラーなどを指定できるし、ひとつのレイヤーがAbletonで、別のレイヤーがMax/MSPで、前後に動かしました。今まであまりやったことがないんですが。いつもはMax/MSPだけを使っていますが、今日は挑戦してみようと思ったんです。Chinabotで音楽をリリースしたばかりで、ビートやエレクトロニカなど、ほとんどが即興演奏でした。

ppooll

-Chinabotとのデビューアルバム『Kia Sao』の背景を教えてくれますか?

 

はい。ChinabotのオーナーであるSaphy Vongに初めて会ったのは、10年前にスロベニアのリュブリャナであったノイズミュージックフェスティバルです。そこで僕らは友達になり、彼はレコードレーベルを始めました。彼は僕のことをレーベルに誘ってくれ、「アルバムをリリースしてほしい」と。このアルバムのアートワークは彼がしているし、共同制作なんです。このアルバムの前は、Chinabotのコンピレーションに参加していて、Pisitakun(タイの現代アーティスト・実験音楽家)やSaphy Vongのトラックも含まれていましたね。

AYANKOKO - Kia Sao

『Kia Sao』は常に進行中の作品で、僕らはノイズ素材とエレクトロニックビートとアジアの音の響きをクリエイティブな方法でミックスしたかったんです。

 

-ペルピニャンとストラスブールの音楽院で勉強し、ジャズギターと即興音楽、作曲でPhD(博士号)も取得しています。なぜここで勉強しようと思ったのですか?

最初は独学でギターを勉強し始めました。それからペルピニャン音楽院に入り、そこの先生がストラスブールで即興音楽について学ぶようアドバイスしてくれたんです。それから3、4年後、サンプリングやコンピューターミュージックのようなエレクトロニックなものとギターを使った実験を始めました。僕が即興により興味を持ったのは、スペインとモロッコに旅行してからです。その時にキューバやモロッコなどのワールドミュージックにも興味を持つようになりました。なので旅行に行く時は、ジャズの即興のようないろいろなものを混ぜるのが好きでしたが、それをサウンドフィールドで行っていました。他の分野の音楽も好きで、ジャズを勉強する前は、ジミ・ヘンドリックスのようなサイケデリック・ロックを聴いたり弾いたりしていました。

 

-Ayankoko以外に、プロのジャズミュージシャンとしても活動していますよね? それは互いにどのように作用しますか?

 

僕の兄弟Alfred Vilayleckも参加するジャズバンド「Peemai」でのジャズギタリストとしてよりも、「Ayankoko」でのヨーロッパツアーの方が多いです。僕のエクスペリメンタル・ギグはジャズバンドのギグよりもよりDIY。現在演奏しているジャズバンドでは、アンビエントミュージックもやるし、伝統的なラオスの音楽「モーラム」ともコラボしています。

Peemai インターナショナル・ジャズ・デー ラオスのヴィエンチャン

-どの先生が好きでしたか? また彼らはどのようにモチベーションを高めてくれましたか?

 

僕がペルピニャンで学んでいたときの、GRM音楽研究グループのDenis Dufour教授です。彼は1950年代にフランスの電子音楽のパイオニアであるPierre SchaeferとPierre Henryに学びました。その彼が僕にテープレコーダーのチョップ&スクリューを試してくれました。以前は、作曲のようなミュージック・コンクレート(具体音楽)を勉強していました。それから、あまり考えすぎず、写真を撮るような感じで即興的な方法で音楽をやるようになりました。15年くらいはやっていたと思います。それから僕にギターを教えてくれた、Pat MethenyとMick Goodrickとバークリー音楽大学で学んだSerge Lazarevitch先生です。音楽を始めてすぐの頃、自分の地元で彼に会えたことはとてもラッキーでした。

写真:Suphakorn Buayangtoom

-ラオスの村のフィールドレコードをサンプリングとして使ってます。どのようにそのサンプリングを入手したのですか?

 

実は、僕はただ自分のルーツに関わりのあるサンプルがほしかったんです。すべてのプロジェクトは僕の人生についてなので。このウェブサイトに集められたサウンドリソースからいいサンプリングを見つけました。

http://www.seasite.niu.edu/lao/culture/traditional_Music/music_collection.htm.

ここには伝統的なサウンドや民族音楽があって、とても面白いです。僕はフランスで生まれたので、ラオスの文化についてはよく知りません。僕が初めてラオスを訪れたのは3年前、ジャズバンド「Peemai」のギグをラオスで行ったときでした。僕の両親は1970年代ラオスが王国から共産主義国家へと変わった頃フランスへ引っ越しました。僕はラオスに行ってこれらの音を録音したわけではないんです。いくつかの音はYoutubeのラオスのドキュメンタリーなどから使用しています。

 

-両親がラオスからフランスへ移民したことは、あなたの人生にどのような影響を与えていますか?

 

僕はヨーロッパで育ったので、僕の生活はヨーロッパの文化に囲まれています。教育もフランスとヨーロッパで受けました。母がラオス語を話すのをときどき聞いていました。なので少しはラオス語が話せますが、簡単な言葉だけです。私の母は勉学のために移住しましたが、共産主義の支配を避けるためでもありました。多くのラオス人が新しい生活を始めるためにヨーロッパやアメリカに移住しました。

 

-Ayankokoという名前はどこからきていますか? また、プロジェクトやレーベルについても教えてください。

 

キューバを旅行したときに、「Santeria」と呼ばれる伝統的なトランス音楽と出会いました。これは主にバタやチャント、ダンスと呼ばれる宗教的なパーカッションで、人々を癒すための儀式としての音楽です。僕はラハバナのBatalerosの家族のところに2ヶ月滞在しました。式典の間、彼らはモロッコのグナワ・トランス音楽と非常に似た方法で聖人と色を呼び出します。「Ayan」はキューバで「精神」を意味し、この言葉にとても魅了されました。それと「Ko-Ko」はジャズミュージシャンのチャーリー・パーカーの曲から取って、それらをミックスしました。

写真:Suphakorn Buayangtoom

基本的にはネットレーベルでプロモートしています。2004年頃からネットレーベルから無料ダウンロードできる楽曲をリリースし始めました。バルセロナにいたとき、「Harzard Records」というネットレーベルを運営する人を見つけ、ネットレーベルでのリリースを始めました。これまでにインターネット上で見つけたさまざまなネットレーベルやコミュニティーで音楽をリリースしてきました。最初はスペインのバルセロナから。次にドイツとメキシコ、ロシアのレーベルからです。ストリーミングやダウンロードが無料でできるので、あまりビジネス的ではありません。インターネット経由のメディアを通じて、より多くの人に音楽を広められるだけです。なので、多くのネットレーベルでリリースした後、2008年頃自分のネットレーベル「Ayan Record」を立ち上げました。そこで好きなものが会った時にリリースしてみました。人々に簡単に広まるので自身を宣伝するときやツアーをオーガナイズするときなどに大いに役立ちました。最初はMySpace、次にSoundcloudのようなプラットフォームを利用し、そこでは世界中のオーガナイザーと話すことができたので、こんなツアーがやりたい、これが自分のレーベルで、何をしてる、などすぐにプレゼンできました。

ほぼ10年間旅をし続け、新しい人々と出会い、本当に素晴らしい経験でした。世界中のアンダーグラウンドコミュニティを集めたら、ものすごく巨大です。2008年から2009年にかけての僕の初期のツアーのほとんどはベルリンでした。ベルリンには本当に大きなシーンがありますよね。自分が知らないところに行ったとき、突然面白い人々と知り合うことがあります。なぜなら彼らは自分と同じことに興味を持っているから。

 

ノイズフェスティバルのあと、僕はラトビア共和国でもう一度Saphy Vongに会いました。彼は何度も引っ越しをしていて、最初はフランス、次にベルリン、ときどきラトビアのリガ、それからロンドンに居住しました。その後カンボジアに2年間くらい行っていましたね。僕がPisitakunに初めて会ったのは去年のロンドンです。僕らはLafidki(Saphy Vong)とともに「Cafe Oto」というショーをやりました。

-ヨーロッパ周辺で多くのツアーを行っていますが、アメリカでギグをしたことはありますか?

 

2009年頃にニューヨークでパフォーマンスをしたことがあります。その頃モロッコにいて、ホテルでジャズのギグをしたときにアメリカ人のミュージシャンに出会いました。彼は僕の音楽に感動して、ニューヨークで演奏するよう招待してくれたんです。それからニューヨークでノイズミュージックのツアーをやるために自分でブッキングもしました。彼のところに住んでいて、その周辺で遊びながら5回くらいギグをしました。それからJohn Zornによって設立された音楽スペース「The Stone」でもパフォーマンスしました。

 

『Kia Sao」はChinabot経由で聴けます。

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https://soundcloud.com/ayankoko

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好きなミュージック・アーティスト

J.s. Bach

 

 

Aphex Twin

 

 

John Coltrane

 

 

Keiji Haino

 

 

Ali Farka Toure

 

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好きなミュージックアルバム

Steve Reich - Different trains
 

 

Miles Davis - Bitches Brew

 

 

Brian Eno - Music for airports

Boards of Canada - Geogaddi

 

 

Linton Kwesi Johnson - Bass Culture

 

 

Aphex Twin - Drukqs

 

 

Evan Parker - Saxophone Solos

 

 

Hmida Boussou - Gnawa music from Morroco

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好きなショー

Chinese Classical Music radio.fr

https://chinesemusicworld.com/radio/

 

Pan-Pot Live set

 

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好きな映画

Lost Highway - David Lynch

The Godfather - Francis Ford Coppola

 

 

Dead Ringers - David Cronenberg

 

 

 

Fargo - Joel and Ethan Coen

 

 

Upgrade - Leigh Whannell

 

 

 

 

 

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好きな本

George Orwell - 1984

 

Philip K. Dick - Ubik

Milan Kundera - La Lenteur

Albert Camus - L'étranger

Ray Bradbury - Chroniques Martiennes

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クレジット

通訳アシスタント:Worrawan Chailert

撮影場所:Studio Lam

 

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©2020 by thanrasa